現金での経費精算が美容室経営の手間を増やしている
美容室の売上は現金やカード決済で受け取りますが、経費の支払いも現金のままだと手間がかかります。カラー剤やシャンプーの買い出しで現金を使い、レシートを財布に入れたまま紛失する。月末にまとめて精算しようとしたら、何の支払いだったか思い出せない。こうした経験のあるオーナーは多いのではないでしょうか。
現金払いの問題点は、記録が残りにくいことです。レシートを失くせば経費として計上できず、結果として納税額が増えてしまいます。また、小口現金をレジから出し入れしていると、売上との区別があいまいになり、帳簿が合わなくなる原因にもなります。
経費のキャッシュレス化で変わること
経費の支払いをキャッシュレスに切り替えると、取引の記録が自動で残ります。以下の表は、支払い内容ごとにキャッシュレスへ移行する方法の一例です。
| 支払い内容 | 従来の方法 | キャッシュレスへの切り替え |
|---|---|---|
| 美容用品・材料費 | 現金払い・店頭集金 | 事業用クレジットカード or 振込 |
| 日用品・消耗品 | 現金での買い出し | 電子マネー(WAON、楽天Edyなど) |
| 交通費(講習会・出張) | 現金で切符を購入 | 交通系ICカード(Suica、PASMOなど) |
| 通信費・電気料金 | 窓口での現金払い | 口座振替 or カード払い |
| 通販での備品購入 | 代金引換 | クレジットカード |
| 税金の納付 | 金融機関窓口で現金納付 | 口座振替 or ダイレクト納税 |
ポイントは「事業用」と「プライベート用」のカードを分けることです。1枚のカードで両方の支払いをしていると、確定申告のときにどれが経費か仕訳する手間が発生します。事業専用のカードを1枚つくるだけで、明細がそのまま経費の記録になります。
カード払いの仕訳と帳簿のつけ方
クレジットカードで経費を払った場合、帳簿のつけ方は申告方法によって変わります。
青色申告(55万円・65万円控除)の場合は複式簿記が必要です。
たとえば、事業用カードで8,000円のカラー剤を購入したケースでは、次のように仕訳します。
- 購入日: 材料費 8,000円 / 未払金 8,000円
- カード引き落とし日: 未払金 8,000円 / 普通預金 8,000円
一方、プライベートのカードで立て替え払いをした場合は「事業主借」を使います。
- 購入日: 材料費 8,000円 / 事業主借 8,000円
白色申告や青色申告の10万円控除であれば、購入日に経費を記録するだけで大丈夫です。
また、カードのポイントで備品を購入した場合は会計処理は不要ですが、ポイントをキャッシュバックとして受け取った場合は「雑収入」として計上する必要があります。
電子帳簿保存法への対応も楽になる
2024年1月から、電子取引データの保存が完全に義務化されました。ネット通販で備品を買ったときの注文確認メールや、カード会社のWeb明細などは、電子データのまま保存する必要があります。
カード払いにしておくと、利用明細がそのまま電子データとして残るので、紙のレシートを1枚ずつスキャンする手間が減ります。ただし、消費税の仕入税額控除を受けるには、カード明細だけでは不十分なケースもあります。購入先が発行した領収書やレシートも合わせて保管しておくのが安全です。
クラウド会計ソフト(freee、マネーフォワードなど)を使えば、カード明細を自動で取り込んで仕訳の候補まで作ってくれるので、入力の手間もかなり減ります。
スタッフの立て替え精算をシンプルにする
スタッフが日用品や消耗品を立て替えて買うケースもあるでしょう。この場合、月1〜2回のペースでまとめて精算し、給与口座に振り込むとスムーズです。
立て替え精算のルールを決めておくと、トラブルを防げます。
- 1回あたりの立て替え上限額を決める(例: 5,000円まで)
- レシートは翌営業日までに提出してもらう
- 精算日を毎月15日と月末など固定する
- プライベートの買い物と混ざらないよう、事業用の電子マネーカードを渡す
こうしたルールを紙1枚にまとめて休憩室に貼っておくだけでも、精算漏れはだいぶ減ります。
当事務所のサポート
経費精算のキャッシュレス化は、始めてしまえばシンプルですが、「カードの選び方がわからない」「仕訳のやり方が不安」「クラウド会計の初期設定が面倒」といった声をよくいただきます。
当事務所では、美容室の経費の流れに合わせたキャッシュレス化の導入サポートを行っています。カードや会計ソフトの選定から、日々の帳簿づけ、確定申告まで一括でお任せいただけます。まずはお気軽にお問い合わせください。
