青色申告と白色申告、どちらを選ぶべきか
美容室を個人で経営している方の確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2つの方法があります。結論から言うと、青色申告の方が税金面で有利です。
「帳簿をつけるのが大変そう」と感じて白色申告を続けている方もいますが、2014年以降は白色申告でも帳簿の記帳と保存が義務化されました。つまり、どちらを選んでも帳簿づけの手間はかかります。それなら、控除額が大きい青色申告を選ばない理由はほぼありません。
青色申告の5つのメリット
美容室オーナーにとって、青色申告を選ぶと使える主な制度を整理しました。
| メリット | 内容 | 美容室での活用例 |
|---|---|---|
| 青色申告特別控除 | 最大65万円を所得から差し引ける | 所得400万円なら課税対象が335万円に |
| 青色事業専従者給与 | 家族への給与を全額経費にできる | 配偶者がレジや予約管理を担当している場合 |
| 純損失の3年繰越 | 赤字を翌年以降3年間繰り越せる | 開業初年度の赤字を2年目・3年目の黒字と相殺 |
| 少額減価償却資産の特例 | 30万円未満の資産を一括で経費にできる(年間300万円まで) | シャンプー台やタブレットPOSレジの購入 |
| 貸倒引当金の計上 | 売掛金の一定割合を経費にできる | 法人契約の売掛金がある場合 |
この中でも特に大きいのが「65万円の特別控除」です。たとえば所得税率20%・住民税率10%の方なら、65万円 ×(20% + 10%)= 約19.5万円の税負担が減る計算になります。
65万円控除を受けるための3つの条件
青色申告特別控除は、帳簿のつけ方と申告方法によって控除額が変わります。
- 複式簿記で記帳する — 売上や経費を「借方・貸方」で記録する方法です。クラウド会計ソフトを使えば、仕訳は自動で作成されます
- 貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付する — 複式簿記で帳簿をつけていれば、ソフトが自動で出力してくれます
- e-Tax(電子申告)で提出する — 紙で提出すると控除額が55万円に下がります(2025年分まで。2027年分からは10万円に縮小予定)
この3つをすべて満たせば65万円控除です。クラウド会計ソフトとマイナンバーカードを用意すれば、どれも対応できます。
なお、2027年分の確定申告からは税制改正によって控除額の区分が見直されます。e-Tax+優良な電子帳簿保存の要件を満たすと最大75万円控除に引き上げられる一方、紙の申告は複式簿記でも10万円控除に縮小されます。今のうちにe-Taxへ切り替えておくのがおすすめです。
青色申告を始めるための届出手続き
青色申告は「やります」と宣言しないと使えません。必要な届出と期限は次のとおりです。
- すでに開業している方 — 青色申告を適用したい年の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を所轄の税務署に提出する(例:2026年分から青色にしたければ、2026年3月16日が期限)
- これから開業する方 — 開業日から2か月以内に提出する。開業届と一緒に出すのが一番スムーズです
- 家族に給与を払いたい方 — 「青色事業専従者給与に関する届出書」も合わせて提出する
届出は税務署の窓口に持参するほか、郵送やe-Taxでも提出できます。書式は国税庁のサイトからダウンロードするか、e-Taxソフトで作成してください。
提出期限を1日でも過ぎると、その年は白色申告になってしまいます。開業届を出すタイミングでまとめて準備しておくと、出し忘れを防げます。
当事務所のサポート
「青色申告にしたいけど、帳簿のつけ方がわからない」「クラウド会計ソフトの初期設定が面倒」という方は、お気軽にご相談ください。当事務所では、美容室に合った勘定科目の設定、複式簿記への切り替えサポート、青色申告承認申請書の作成・提出代行まで対応しています。開業前のご相談もお受けしています。
